今さらながら「脳内革命」を読んでみた。普通の成功哲学本が成功のための「How to」が書かれているのに対し、「Why」が書かれていることが本書の最大の特徴。
最近、成功哲学に関する本を読みあさっていたけれども、この本を読むと、
謎はすべて解けた!!
と、金田一少年になった気分になる。それだけわかりやすく「なぜ」成功するのかが書かれている。
本書はベストセラーなのでブックオフではデフォルトで105円(税込)で売られており、読んでいなければぜひ購入して一読をオススメする。
あなたは絶対!運がいい 浅見 帆帆子 発売日 2001/09 売り上げランキング 720 Amazonで詳しく見る |
この本の主張は明快。著者の主張する「本当の『プラス思考』」さえすれば、だれでも運のいい人になれる(ていうか、叶わない望みはない)というのがこの本の主題である。著者自身が若い女性であり(執筆当時24歳)、10~30代女性向けにわかりやすく読みやすく書かれている。ちょっと装丁が恥ずかしいので野郎が本屋で買うには買いにくいが、男性にもオススメなのでぜひAmazonで買ってください(商売根性)。
それはともかく、
この本のような成功哲学に関する本を読んでいると、どうも品質工学とダブる気がするんだよね。で、「あなたは絶対!運がいい」を題材に品質工学と幸せとの関係を考えてみたい。
まず、浅見さんの主張から。
「本当のプラス思考」とは、「まわりの事柄に関係なく、積極的に、自分の心の中をプラスの意識(プラスのパワー)でいっぱいにする」ということです。(p.24)
ここでのポイントは浅見さんが(偶然にも)的確に「パワー」という言葉を使ったこと。パワー(=力)というのは次元で言うと エネルギー/時間 である。
このエネルギーとは、例えば「品質工学入門」p.21で言われているような、
技術には目的があり、その目的を達成するために、技術に固有する働きがあるはずです。それは基本的にはエネルギーの入出力関係として表せる
そう考えると、浅見さんのこの言葉がすんなりと理解できる。
「解決するために考える、うまく解決するだろうかと心配する」実は、これは問題解決からどんどん遠のいているのです。(p.33)
品質を改善したければ、品質を測るな
で、このプラスのパワーのつくり方を浅見さんはいろいろ紹介しているが、一言で言ってしまえば「よいこと」をすればいい、ということである。
俺流に解釈すると、こうなる。
人間は「よいこと」をするために生まれてきた(=基本機能)
因果律が逆だったんだね。「よいこと」をするために生まれてきたんだから、「よいこと」をすればどんどん運が良くなるのは当たり前だよね。
科学的に解釈したくて「人間」という単語を使ったが、浅見さんの本を題材にしているのだから最後はこんな感じに締めくくろう。
あなたは「よいこと」をするために生まれてきたんだよ
戦争のつくりかた りぼん・ぷろじぇくと 発売日 2004/07/27 売り上げランキング 161 Amazonで詳しく見る |
今、日本や世界に起こっていることにずっと違和感を感じていた。個人よりも組織の論理を優先する風潮がはびこってきているんだ。イラク戦争はもとより、三菱自動車のリコール隠し、アジアカップの度が過ぎるブーイング、白骨温泉の入浴剤混入だってそうだ。
人を愛することを忘れた上で組織を愛する風潮、それこそが平和を壊すいちばんのエネルギーになるんじゃないかな。
ただ俺にはそのことを言い表す言葉が出てこなかった。この本では24~25ページに端的な表現で書かれている。
人のいのちが世の中で一番たいせつだと、今までおそわってきたのは間違いになりました。
一番たいせつなのは、「国」になったのです。
愛国心は間違いではない。ただ人を愛することを忘れさえしなければ。
俺らが平和を享受していきたいのであれば、人を愛することを忘れないでほしい。
この本を読んで、そんなことを考えた。
リボン・プロジェクトで無償で入手可能なので、ぜひ一読をオススメする。
他の誰かになりたかった―多重人格から目覚めた自閉の少女の手記 藤家 寛子 発売日 2004/03 売り上げランキング 3,906 Amazonで詳しく見る |
サブタイトルからは解離性人格障害がメインのような印象を受けるが、「アスペルガー症候群」の著者がどのような半生を送ってきたか、またどうやってこの「普通」の世界を理解しようとしているかが書かれてある本である。
アスペルガー症候群にありがちな妙に細かいところにこだわる描写まで含めて、アスペルガー症候群の女の子が自分の言葉で自分を語るというアスペルガー症候群を知る上で貴重な本であり、教育関係者などはぜひ読んでおいてもらいたい良著である。
特に自分の考え方や世界観を、客観的に表や箇条書きにしている第二部は必見。第一部で述べている普通の世界との接点を持つことの難しさ、それをいかにして克服しようとしている(してきた)かが俺らにもわかりやすく書かれている。
……うーん、うまく伝わらない。どーしてもみんなにこの本を読んでもらいたいんだよ。それくらい良い本。
で、彼女らの(たぶん俺らには一生わからない)苦労を「頑張っているね」「大変だったね」といった言葉でねぎらってあげたい。
帰ってきました。
今回は1年ぐらい前に買っておいてずっと読んでなかった「坂の途中―おいしいコーヒーのいれ方VII」と、続きが読みたくなってあわてて買った「優しい秘密―おいしいコーヒーのいれ方VIII」を読破したり、HINAGATAのテンプレートを勉強したりと、旅気分よりもつかの間の独身生活を満喫した列車の旅だった。
「優しい秘密」でのりつ子ちゃんの壊れっぷりはおいコーっぽくはないけど、村山由佳らしさが出てていいよね。
HINAGATAについては、今後導入予定。今はまだ勉強中なので、しばらくはこのちょっと崩れたレイアウトで我慢してください。
週末起業 藤井 孝一 発売日 2003/08/06 売り上げランキング 8,303 Amazonで詳しく見る |
週末起業という新しい概念を提示した藤井孝一氏の著書。
週末起業のメリット(ローリスク)と、そのためにローコスト、ネットの活用、オンリーワン戦略を説いている。また税金対策や法人化に関してもさらっと書いてある。おそらく著者自信や知人の経験から具体例も書かれていて読みやすく、3時間ぐらいで読み切ってしまった。起業に対するモチベーションを上げるためにはいい本だと言える。
でも、内容が薄すぎる。サラリーマンの起業マインドを高揚させる意味で、読む価値は充分あると言えるが、取っておく本ではない。興味があれば図書館で借りて読むことをお勧めする。
とは言っても714円だしね。この値段なら買ってもいいかな。
安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方 山岸 俊男 発売日 1999/06 売り上げランキング 1,951 Amazonで詳しく見る |
Amazonで送料無料にするために、てきとーに1冊選んだ本。これが意外と面白かった。
まず信頼・安心という似た言葉を社会的不確実性の有無に基づいて定義し、日本は社会的不確実性の少ない安心社会、アメリカは不確実性が多い信頼社会という常識に反した仮説を、実験を元に実証していく。
その後、安心に対して(他者に対しての一般的)信頼することのメリット、信頼するとだまされるという常識の反証、信頼社会が社会環境によって形成可能なことを説き、そのためには情報の不均衡是正(情報開示)が必要であると結論づけている。
しかも著者の膨大だと思われる実験結果に基づきながら、(相関係数は出てくるが)数式を全く使わずに本書を書き上げていることは敬服に値する。
本書で結論づけられている情報開示のみで、信頼社会が構築できるとはさすがに思わないが、信頼社会の構築のために情報開示が必要という著者の本書での結論はとても納得のいくものであると感じた。
ひとが否定されないルール―妹ソマにのこしたい世界 日木 流奈 発売日 2003/09 売り上げランキング 106,184 Amazonで詳しく見る |
この本に出会えたことを、俺は感謝している。
賛否両論が渦巻いているが、「7つの習慣」や「バカの壁」よりも素直に心を打つことができる良書と言える。本当に障害者が書いたかどうかは僕にはわからないが、愛により純粋培養された人間の強さというか凄さがこの本から滲み出ており、これは今の日本で普通に社会生活を営んだ人間が書ける内容とは思えない。
ただ文章は拙い。幼いという意味ではなく、人にイイタイコトを伝えるには難しい言葉遣いが多いという意味で。その欠点を補って余りある良書。
光とともに… (5) 戸部 けいこ 発売日 2003/12/04 売り上げランキング 2,621 Amazonで詳しく見る |
待望の「光とともに…」第5巻。ひとことで言うと読め!
このシリーズは、マンガながら自閉症児に関わっている、関わる可能性のある全ての方の必読書と言っても過言ではない。それほどまでに自閉症の入門書として最良と言える。
第5巻のポイントは海七太くんが芸能人になっていること。俺は新キャラだと思っていたら、第1巻にちょくちょく出てるよ、と嫁に指摘された。体育の授業中に光くんとじゃれあっていたりして、芸能人になってもいいキャラのまま成長しているのが嬉しい。
また、姑が悪者モードになっているのも特筆すべき点か。
一応、第1巻から第4巻までのリンク
「光とともに…(1)」
「光とともに…(2)」
「光とともに…(3)」
「光とともに…(4)」
クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか? E・ゴールドラット , 三本木 亮 発売日 2003/10/31 売り上げランキング 943 Amazonで詳しく見る |
小説としては駄作だった「チェンジ・ザ・ルール」とはうってかわって面白かった。
そのかわり論点がぼやけてしまっているのが難点。特にタイトルのクリティカルチェーンに関する内容が、最後の方にちょっと出てくるだけ、というのは寂しい。
ざっくりとまとめると、プロジェクトを進めるときにはクリティカルパスと、リソースが制約条件になる「クリティカルチェーン」のみを徹底的に管理してあげれば早く終わるよ、というお話です。
ためにはなったけど、うちの会社ではPERT図なんてほとんど見ないんだよね。俺としては不完全燃焼です。
バカの壁 養老 孟司 発売日 2003/04/10 売り上げランキング 288 Amazonで詳しく見る |
子供の世話を差し置いて話題の「バカの壁」を読み終えた。
ベストセラーになっているだけあって難しい内容が平易に書かれてあり読みやすいのだが、いかんせん論理に飛躍が見られたり、例示が不適当だったりするのが残念である。これは全体の首尾一貫した主張から鑑みるに養老氏の問題というよりもむしろ、インタビューをした編集者か執筆者の力量のせいだろう。
一元論的な見方を否定し、人間としての普遍的な常識を積み上げるべきという氏の主張にはとても共感が持てる。
俺にとっての新たな発見はカトリックを多神教と捉えている点。俺の不見識を露呈させてるだけだったりして。